untangle.個展「during drawing」開催

posted on 2013.5.30 / text & photo by Riken KOMATSU


 

6月23日より1週間、群馬県高崎市のガーデンショップ乙庭で、小名浜在住のドローイング作家untangle.の個展が行われる。untangle.がかつて住んでいた高崎市。思い出の場所での個展を控え、untangle.が今個展について何を考えているのか話をうかがった。

 

 

―高崎ではどんな展示なる予定ですか?

 

展示作品は、だいたい10作品ほどを考えています。メインとなるのは、初日のレセプションで描くライブドローイングです。会場が花の苗を販売するお店ということもあり、現場でオーナーと話し合う中で、線が植物とからむような展示のアイデアが生まれました。

 

ライブドローイングでは、会場内の床や壁面に植物を配置し、それらと一体となるようなドローイングを考えています。植物と、床、壁、天井に描くドローイングとが空間を包み込むようなイメージですね。展示というよりも、そこの空間自体がその場所でしか表現できない1つの作品になればいいなと思っています。

 

日々の作業場となっているUDOK.で話をうかがった。
日々の作業場となっているUDOK.で話をうかがった。
いわき市平「夜明け市場」で開催された「kitchen drinker drawing」での1コマ。 photo by Jouji SUZUKI
いわき市平「夜明け市場」で開催された「kitchen drinker drawing」での1コマ。 photo by Jouji SUZUKI

 

―今回もタイトルは「during drawing」ですが、小文字の表記になっていますね。前回を経て、何か作風や心境に変化があったんでしょうか。

 

前回の「DURING DRAWING」につづき、今回も「線を引いている間」という展示のコンセプトは変わっていません。前回はフラットな空間にギャラリー的に絵を飾るといった展示方法でした。そういった意味で少し「堅い」展示表現を心がけていました。その場所の意味や空間とは少し切り離された「2年間」という時間と、「untangle.の線」というものを展示したかったからです。

 

逆に今回は、より砕けた展示、あるいは場所と関連性をもつ展示を考えています。展示作品も、前回展示したものの中からその場所に合ったものを選び、さらに新たに描くものを加えようと思っています。

 

DURING DRAWING」と時期を同じくして開催した「kitchen drinker drawing」では、よりその場所性や空間とコラボした展示を心がけました。イタリアンレストランという会場で、ほろ酔いの線がキッチンから飛び出し、そこにあるキッチン用品やワインの空き瓶やグラスにドローイングを施しました。まさにその場所でしかできない表現です。その経験が、自分の中で今後のドローイングと空間との在り方みたいなものに可能性を感じさせてくれました。

 

タイトルを小文字にしたのは、「堅い」イメージから、より柔軟で柔らかくその場所で流れる時間の隙間に入り込み、一体化するようなイメージへの変化を示します。額縁に納められたいかにもな絵が展示されているのではなく、花屋さんという場所の本来の主役であり、そこの住民である植物たちとドローイングが自然と仲良くからむような、そんなイメージです。

 

会場となるACID NATURE 乙庭。コンクリートの外壁が美しい。
会場となるACID NATURE 乙庭。コンクリートの外壁が美しい。
店内では打ちっぱなしのコンクリートと緑が絶妙のバランスで展示・販売されている。
店内では打ちっぱなしのコンクリートと緑が絶妙のバランスで展示・販売されている。

 

―さて、今回の展示会場は高崎ですが、かつて住んでいた縁のある場所ですね。どうして今回は高崎での展示となったんですか?

 

今回の高崎の会場は、UDOK.に以前連絡をいただたことのある九冨美香さんからお話をいただきました。彼女は高崎在住のアーティストであり、ACID NATURE 乙庭(今回の会場)で毎月アーティストを迎えて開催している「生物図鑑」のキュレーターでもあります。その「生物図鑑」の12回目として「展示をしませんか?」とお誘いをいただきました。

 

6月はちょうど九冨さんの展示が行われていたので、会場の下見も兼ねて乙庭さんに伺いました。コンクリート打ちっぱなしの現在的な集合住宅の一室が会場です。

 

実は、この建築は「生物建築舎」という建築事務所の設計で、東京での展示や雑誌にも掲載されていて、前から見知ってはいました。しかも、設計者は同じ大学の先輩で、この建築の設計には助手時代の教え子が所員として関わっていたことを知りました。さらに、3年前まで暮らしていたアパートの近くという縁も。

 

会場を訪れて、まずなにより屋外に置かれた約1500種類もの植物に驚きました。世界中が原産地の見たことのない種類が多く、その造形にも興味が湧きました。そして、そんな植物と灰色のコンクリートのコントラストがまた良くて、会場に入った時には「この植物たちと線を一緒に展示したい」と思ってました。

 

お店のオーナーの方に自分の過去の作品などを見せながら話すと、すぐにイメージを共有できたようで、どんどんと新しいアイデアが出てきました。あの現場でのライブ感は、ものすごくワクワクしますね。

 

 

untangle.の線は、そもそもが植物のようなうねりを持っている。無数の植物に囲まれた乙庭で、本物の植物と線どうからみ、空間がどうほぐされていくのか。コンクリート打ちっぱなしの床、壁、そして天井に直接ライブドローイングをすることになったとのこと。untangle.の神髄が感じられる「からみほぐし」の空間になりそうだ。

 

 

information

生物図鑑12 untangle. during drawing

日時:2013年6月23日(日)〜6月30日(日) 

時間:13:30〜18:00(火・水定休)

会場:ACID NATURE 乙庭 / 群馬県高崎市貝沢町1289-1 Quarry-D

http://garden0220.jp


 

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