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ABOUT ONAHAMA
小名浜、という町に、ついて。
小名浜は、福島県の太平洋岸、いわき市の南東部に位置する港町。海と空、太陽が美しく、「東北の湘南」だなんて呼ばれているようなところです。港町なのでちょっとガラの悪いところもありますが、四季を通して、美しい景色、おいしいおさかな、人情味溢れる人たちに囲まれ、みんな元気にゆるゆると暮らしています。
東京から小名浜にくるには、東京駅からだと小名浜への直通のバスが出ています。常磐道を北上して3時間くらい。電車なら、上野駅から常磐線で2時間の泉駅から、さらにバスで15分ほどで到着。東京から直線距離で200キロくらいなので、日帰りの旅行をするにはもってこいのところです。
東京から直通バス(現在はまだ復旧せず)でおよそ3時間の港町。小名浜。
江戸時代は、磐城平藩に属する港町でしたが、1747年に幕府直轄領となり、代官所が置かれるなど海運の町として発達しました。その後、明治の町制施行によって「小名浜町」が成立。昭和に入ると、戦後の市町村合併で「磐城市」が誕生し、さらに1966年、小名浜を含めた14市町村が合併し「いわき市」となったことを受け、今の「いわき市小名浜」となりました。
現在は、国際港湾に指定されている小名浜港を中心に、水族館「アクアマリンふくしま」などの観光施設が集まり、県内でも有数の観光地として知られています。また、その港には、海運業や製造業の拠点も集約されるなど、工業地帯としても機能しています。人口はおよそ7万。いわき市内のひとつの地区ではありますが、ちいさな市ほどの規模があると言っていいと思います。
ちなみに、小名浜の「オナ」というのは、アイヌ語で「突き出たもの」という意味があるらしく、それが由来になっているという説や、津波を表す「男波(おなみ)」が語源となっているという説などがあるそうです。以前は女浜と書いて「おなはま」と呼んだ時代もあったそうなので、男なのか女なのかよくわからないような町なのかもしれません。
やはり小名浜の最大の魅力はその美しい海。いくつが砂浜がありますので、ぜひ波打ち際まで行ってみてください。波の音に耳を傾け、カモメの鳴く声を遠くに聴いていると、心の中から何かがじわりと溶け出し、波に吸い込まれていくような気持ちになります。ゆったりと哀愁が漂う東北の港町の雰囲気を、ぜひ楽しんでみてください。
小名浜はほんとうにうまいもんがいっぱいあります。特に魚介は豊富です。サンマやカツオ、メヒカリ、ドンコ、アンコウなど、年間を通して近海もののおいしい魚が食べられます。特にメヒカリは「いわき市の魚」にも認定されるなど、小名浜のソウルフードとして知られています。しかし震災後は、いわき近海での漁が自粛されていることもあり、他県産の魚が用いられるようになりました。残念でしかたありません。
港の近くには、新鮮な魚料理を食べられるレストランや食堂が何軒もありますし、地元の人でも行きづらい「港のおっちゃんやかあちゃん」たちが愛用する食堂もあります。とてもバラエティ豊か。1回だけじゃ味わいきれませんよ。実は、小名浜はラーメンの名所としても知られていて、「味世屋食堂」と「チーナン食堂」は、両巨頭として地元民の熱烈な支持を集めています。もちろんグルメガイドには乗らないような、地元の人がこっそりと行くような店もたくさんあります。そのうまさは、ぜひぜひ実際に舌で確かめてみて下さい。
映画『フラガール』でおなじみ、常磐ハワイアンセンターがある常磐炭坑から出る石炭を運ぶため、小名浜は、工業港としての性格を強めてきました。高度経済成長期には、化学製品を生産する大型の工場がいくつも建設され、広大な臨海工業地帯を形成しています。その工場地帯は夜景の撮影スポットにもなっており、新たな観光資源としても期待されています。
また、通りをひとつ入れば、改修されることなく朽ち果てた建物や、潮風に晒されて錆びた住宅や工場を見ることができます。見捨てられた「地方」の残骸。朽ち果ててゆくさまは、心に強く訴えかけるものがあります。街の歓楽街は「東北最大のソープ街」として知られています。昭和の色町の雰囲気を残した歓楽街にも、哀愁漂う空気を感じることができます。
このように小名浜には、美しい海も、おいしい食べ物もありますが、世間から遠ざけられてきた古ぼけた工場や、男性の欲求そのままのソープランドといったものもあります。「きれいごと」だけでは片付けられない人間の生々しさまでもが、街のあちこちに見つかるはずです。まさしく、「人の生きる臭い」がする。そんな形容詞が相応しいかもしれません。哀愁も人情も複雑に解け合い、さまざまな表情を見せてくれる町。それが小名浜です。
このウェブマガジンで描かれる小名浜は、どんな小名浜でしょうか。さあ、小名浜と手と手をつないでみましょう。
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