小名浜への想い

Re:write vol.7 / text by yuuyatakamura

 

僕の故郷は小名浜である。福島県いわき市の港町。そこにはあえて言葉で言い表す必要もない魅力が沢山ある。港町ゆえの気前の良さ、人情、少し荒いと言われる小名浜弁の裏に見える愛情。小名浜でしか感じたことのない「それ」は、あえて言葉にする必要もない小名浜の魅力なんじゃないかと、この歳にして、思う。

 

今回の大震災を受けて、僕の小名浜への想いはただひたすらに強まった。それは小名浜へ帰りたいということなのかもしれないし、小名浜のために何かしたいということなのかもしれない。

 

小名浜には家族がいる。お袋に弟に妹。地震が起きた時、僕は埼玉にいた。真っ先に小名浜の家族を気にかけるも、繋がらない電話、繋がらないメール、連絡が取れない状況で「最悪」をイメージしてしまうのは僕の弱さなのかもしれない。ただただ、家族が心配だった。

 

数時間後、お袋からのメール。 「無事です」。

 

安心したのもつかの間、無事とはどの程度のことなのか?  津波の影響は?  家はあるのか?  新たな不安が生まれた。一体、現状はどうなんだ?  なくならない不安を抱いて、この後の連絡が思うように取れない数日間を過ごすこととなる。家族の全員の無事が確認できたのも、ある程度時間が経ってからだった。と同時に、自分の無力さを痛感した。「何かできる自分でいるか?」

 

 

 

今回のこの大震災を受けて一番に感じたことは、自分の無力さに他ならない。もっと経済力があったら、もっとリーダーシップがとれて人を動かせる自分であったら。ただ、大事なのはそんな自分からの変化。僕には僕なりにできることがあるんだという思い込みにも似た正義感。いや、それを超えた「何かしなきゃダメだ」という想い。故郷である小名浜への湧き出る想いがこの大震災を経て、本物になった気がした。

 

僕は高校教師を目指している。もっと多くのことに関心を持ち、何事にも一生懸命で、礼儀礼節があって、物事の分別があり、きれいごとや理想論だと言われながらも自分の信念を持って行動できる。もちろん自分のためだけではなくて、誰かや何かのために一生懸命になれる。そんな能動的な若者が僕と関わっていく中でたくさん生まれてほしい。エゴかもしれないけれど、それが今後の日本の未来を担う若者の姿であるべきなのではないか。その理想を、僕自身も追求しているんだ。

 

そして今回の大震災を受けて「教師をやるなら、小名浜で。」そんな想いが確固たるものになった。小名浜のために何かしたい。今すぐにではなくても、今後復興という道を辿る自分の故郷で、何か力になれる自分でいたい。小名浜の未来を想像したいんだ。新たに創造するためにも。そしてそこに力添えできる自分でいたい。だって、1つしかない故郷じゃないか。

 

きっと1人ひとりに役割がある。こんな状況で笑いをとるのもクラスの人気者の君の役割だろうし、家族を支えるのもあなたの役割かもしれない。だから、できることって無限にある。僕にできることは、やりたいことでもある。1人ひとりの自立の先に、団結って生まれるものじゃないか。

 

間違いなしに、未来は若者が創る。被災地に夢を持った明るい若者がいたらどうだろう。その土地を守ってきた先人も安心するのではないだろうか。若いということは、失敗する時間があるということ。失敗する気なんてさらさらないけれど、町の復興とともに、そこにいる一人の人間として年輪を刻んでいければいい。僕はそれを担う一人でいたい。僕という人間を創った小名浜への恩返しの意味でも。

 

「小名浜の男」を受け継ぐ者の一人として、やるなら今しかないと、本当に思う。この小名浜への想いは揺るがないよ。こだわりを持っていきたい。

 

断固、小名浜。

 

 

2011.4.25 up

profile yuuyatakamura

1987年生まれ。小名浜一中、東日本国際大学附属昌平高校を経て、大東文化大学中退。

現在は「憧れられる高校教諭」を目指して日本大学通信教育学部に所属。

 

 

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コメント: 2
  • #1

    とく (火曜日, 26 4月 2011 00:22)

    takamura君、ぜひ教師を目指してください。
    生徒に何をしてあげたいかをしっかり持っているあなたを待っています。

  • #2

    マカロン (水曜日, 27 4月 2011 11:39)

    takamuraさん、こんにちは。

    故郷で教師になりたい。

    素敵な夢です。

    若いから失敗が許されるんです。
    どんどん失敗してください。
    その失敗は、takamuraさんの人間性をさらに豊かなものに
    してくれますよ。

    校種は違えども、いわきの教育現場で待っております。