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鬼ごっこが増幅させる写真の楽しさ

posted on 2011.1.12


写真撮影×鬼ごっこ。坂を駆け上り追いかける鬼。鬼から逃げ回るプレイヤー。遊びの中にクリエイティブの楽しみを見つけるフォトセッションイベント『シャニゴッコ』が小名浜で開かれた。走り疲れて悲鳴を上げる体が切り取った一瞬とは??      

 

 

写真を撮る楽しさを体いっぱいに味わってもらうことを目的としたフォトセッションイベント「シャニゴッコ」。文字通り、鬼ごっこをしながら、その様子をカメラに収めようという単純明快なコンセプトだ。鬼チームとプレイヤーチームにわかれ鬼ごっこをし、逃げ回り、あるいは追いかけながら、お互いの表情を切り取ってゆく。

 

イベントには、写真撮影を趣味にする人だけでなく、嗅覚の鋭いイベント好きやクリエイティブに興味のある高校生なども参加、実に幅広い層が「シャニゴッコ」を楽しんだ。「写真の経験」の有無がイベントを左右しないようにと、主催者側がインスタントカメラを用意したことも手伝って、カメラの使い方に悪戦苦闘することなく、全員がすんなりとイベントの世界観を楽しんだようだ。

 

シャニゴッコのルール説明を聞く参加者たち
シャニゴッコのルール説明を聞く参加者たち
撮影機材にはkodakスナップキッズを使用
撮影機材にはkodakスナップキッズを使用
主催者の鈴木穣蔵(右)と鈴木宇宙(左)
主催者の鈴木穣蔵(右)と鈴木宇宙(左)

 

イベントを主催したのは、いわき市内でアマチュアカメラマンとして活動している鈴木穣蔵と鈴木宇宙の2人。「散歩などをしながらゆったりと楽しむのもいいけれど、ゼーハーいいながらアクティブに写真を撮ってみるのも楽しいのではないかと考えた」。鈴木宇宙は今回の企画の意図をこう解説する。

 

その言葉通り、この日のイベントでは誰もが体を動かし、そして笑顔だった。とにかくまず単純なルールの「鬼ごっこ」があるので、イベントへ入りやすい。皆が子どものように、叫んだり、ずっこけたり、坂を転げたり、思い思いに体を動かしていた。しかし一方では、そうした「いい表情」を撮るために、あえて鬼に近づいたりすることも。

 

「あまり大きな目的は設定せずに、単純に楽しんで撮影できるようにすることを心がけた」と鈴木宇宙はいうが、実際に、ゲームと撮影がうまく組み込まれ、写真を撮るという行為をさらに「楽しい」ものにしていた。写されているであろう「笑顔」や「苦悶の表情」は、決して演技して作ったものではないだけに、仕上がりが本当に楽しみだ。

 

デジカメではできない「現像の楽しさ」を感じられることもシャニゴッコの醍醐味。「デジカメは、撮影しただけで何となく撮った気になってしまいがちですが、これなら現像の醍醐味も感じてもらえるはず。何が撮れているかわからないからこその楽しさも知ってもらえれば」(宇宙)。

 

インタビューに答えてくれた鈴木宇宙
インタビューに答えてくれた鈴木宇宙
走り疲れて限界の表情。イベントの楽しさをカメラに収めていく
走り疲れて限界の表情。イベントの楽しさをカメラに収めていく
逃げ回るうちにドブにハマってしまう参加者も
逃げ回るうちにドブにハマってしまう参加者も

 

この日に撮られた写真は、1月22日(土)、いわき市平にあるオルタナティブスペースBASEMENTで展示されることが決まっている。2人の鈴木が審査員として全員の写真を選び、ポイント制にしてグランプリを決める趣向だ。写真家ではない素人の写真が展示としてどう「化ける」のか、プロデューサーとしての2人の腕の見せ所だ。

 

今回のイベントに貫徹するのは、「遊びの延長線にあるクリエイティブ」。参加者は余計なことを考えずに、ただただ「楽しいという感情」を共有できる。しかし、一歩引いてみれば、イベントを行い、最終的に展示という空間を仕上げるという「壮大なアート作品」と言うこともできるし、参加者は、その過程をつぶさに感じ取ることができる。参加者も観覧者も、いろいろな楽しみ方ができるイベントになりそうだ。

 

information

 candlelight party INVISION vol.2 シャニゴッコ展

会場:alternative space BASEMENT

住所:いわき市平一町目47-1  タムラムセンビル1F

会期:2011年1月22日(土) 

開催時刻:18:00 〜 ロウソクが燃え尽きるまで

入場料:¥500(1ドリンクつき)


text & photo by Riken KOMATSU


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