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FEATURE

川へ

posted on 2010.7.20


 

—なぜ今、藤原川なのか?

 

人々の関心が自然に向かう今、全国の各地で、海や山、川にもう一度還ろうという草の根の活動が行われている。中でも川は、海と山を結びつける動脈としての価値が見直され、環境問題や地域社会を考える上での材料として、盛んに取り上げられるようになった。生活に密着しているからこそ、地域の自然環境を学ぶのに最適なのだろう。そうした活動が地域への愛着を生むだけでなく、地元の人だけに留まらない「価値」を生み出してもいるのだ。

 

しかし、ここ小名浜に目を転じてみると、「藤原川」の存在は人々の記憶の奥底に埋没してしまっているように思える。かく言う私もそう。高校へ通うのに、この川にかかる橋を何度往復しただろう。それでも私は、この川のことを、橋の上から見える景色しか知らないのだった。いつの間にか「藤原川はどぶ川」という記憶だけが残り、川に寄り付くこともなくなった。そう考える小名浜の人も、少なくないはずだ。

 

しかし考えてみると、私は藤原川のことを何も知らないくせに、勝手に「どぶ川」と信じ込んでいるのだった。私の知らないどこかに、何か面白い発見があるかもしれないというのに。なんて世界が狭いのだろう。だから私は、まずは川のことを知ろうと考えた。本当はカヌーで川下りがしたかったが、まずは河川敷を自転車で走ることにした。そう、「探検」。そんな子どもの頃のわくわくを思い出しながら、私は自転車にまたがった。

 

 

—豊かな自然が残る玉川地区

 

いわき市遠野地区の三大明神山を源とし、湯本、小名浜を貫いて太平洋へと注ぐ藤原川。全長は23.8km。小名浜だけを取り上げると、常磐下船尾との境にある野田から、玉川、住吉、大原、富岡、芳浜、吹松などの各地区を通り、藤原埠頭で海と合流する。意外と大きな川だったことに今更ながら気づかされる。支流である釜戸川、矢田川はそれぞれ渡辺町や鹿島地区をカバーしているから、広大な「藤原川水系地域」とも言うべきエリアを形作っている。

 

今回たどったのは、全長のおよそ3分の1。小名浜野田をスタートし、小名浜港まで下る7キロほどの道のりだ。国道6号の道幅が狭くなるあたりの場所から遊歩道が始まっていて、そこが起点になる。遊歩道と言えば聞こえはいいが、実際には、軽自動車が一台通れるくらいの道だ。「うまくいけば、この道は海まで続いているはず」。そう期待に胸を躍らせながら、その道をひたすら前に進んだ。

 

出発地点から少し進むと、野田工業団地と島工業団地の2つの団地が広がっているせいか、周囲は少し殺伐としている。ただ、煙をもくもくと吐き出すような工場ではないから、川縁を流れる時間はいたってのどかなものだ。上を見上げれば野鳥たちが空を飛び交い、下を見れば岸辺にススキやヨシがうっそうと茂っている。水の流れは、透明な光を気持ちよく跳ね返し、「自然豊かな藤原川」の余韻をわずかに残しながら、海へと向かっている。


 

あちこちに水門が並ぶ遊歩道
あちこちに水門が並ぶ遊歩道
小名浜らしからぬのどかな緑
小名浜らしからぬのどかな緑
矢田川との合流地点
矢田川との合流地点

 

 

—川から「工業用水」へ

そんなのどかな光景が変わるのは、国道6号バイパスの下をくぐり、矢田川と合流する大原あたりからだ。川幅も大きくなり、豊かな流れを湛えてはいるものの、水の色は茶色く濁り、あちこちから排水が注ぎ込まれている。泥の臭いから鼻を背けると、目線の先には、すっかり古ぼけてしまった大きな煙突がいくつも見えた。「自然豊かな川」が「工業用水」へと変わるのだ。

 

途中、藤原川公園という親水エリアを見つけた。しかし、休日だというのに釣り人が1人しかいない。川縁まで階段が続いているので、直接水に触れることもできるが、そうしたいと思う人は1人もいないだろう。海の水と混じり合う「感潮区間」のため、川床が粘土やシルト(砂よりも細かく粘土よりも粗い土壌)が堆積し、臭いがするからだ。

 

ふと、その泥の臭いがきっかけになって、小学校の頃、この辺りで遊んだのを思い出した。ザリガニを捕るために靴を脱いで足を突っ込んで川の中へ入ったのだ。泥はひざのあたりまであり、力を入れれば入れるほど深みにはまる。結局、ザリガニは1匹もおらず、家に帰って母にめちゃくちゃに叱られたのだった。私にとっての遠い「藤原川の記憶」である。

 

芳川橋を超えると、その先には、東邦亜鉛、日本海水などの大型の工場が並ぶ。河川敷の遊歩道も人の気配がすっかりなくなり、雑木が伸びたい放題に枝を伸ばしていた。わずかにツンとするような臭いが漂う。川に視線を落とすと、排水が流れる部分だけが不自然に茶色く変色しているのが見えた。「親水」などという言葉とは縁のないこの場所に、藤原川の過酷な運命を見たような気がした。

 

川へ注ぎ込まれる排水
川へ注ぎ込まれる排水
工場エリアを進むと海が近づく
工場エリアを進むと海が近づく

 

 

—釣り人に愛される藤原埠頭

工場を視界にとらえながら、なお前へと進むと、泥の臭いが潮の臭いと混ざり始めていることに気づく。即席で作られたデッキに繋がれた小舟も、海の空気を増幅させるかのようだ。そのまま「みなと大橋」を渡れば、海は目の前。藤原埠頭へと到着する。道路の両脇に車が何台も止まり、専用のジャケットを着こんだおじさんたちが、何やら神妙な面持ちで釣り糸を垂れていた。おもりのついた糸を投げる「ビュッ」という音が、浜風に映える。

 

堤防までやってくると、ようやく家族連れの釣り客が増えてくる。私は、まるで遭難した山からようやく下りてきた登山客のような気持ちで、この場所を見つめた。川にはほとんど人がいなかったから、たくさんの人を見て安心したのだろう。「何を釣ってるんですか?」と聞くと、どうもこの辺りはシーバスの名所とのこと。私は、少し誇らしくなり、思わずその人たちと握手をしたくなった。

 

自分が来た道を改めて振り返ると、遠くで、茶色に濁った川の水が少しずつ海の青と同化し、大海に注いでいるのが見える。野田を出発しておよそ2時間。長かったが楽しかった。途中写真を撮ってきたことを考えると、移動だけなら30分くらいの道のりだろうか。「たった7キロの道のりでも、これほど表情を変えるのだから、川って本当に面白いな」、そう思った。額の汗を拭い、自動販売機で買ったミネラルウォーターを一気に飲み干した。空が、さっきより青く澄んで見えた。

 

—藤原川に小名浜を見る

 

自転車に乗りながら、さまざまなことを考えた。改めて強く感じたのは、小名浜は港町というより「工業の町」なのではないかということ。藤原川の役割も「工業用水」として機能しているから、住民はますます寄り付かなくなり、川と親しむ機会を失ってきたのだろう。途中、捨てられた大小さまざまなゴミを見たが、もう何年もそこに放置されたままのように見えた。無関心。そんな言葉が頭をよぎる。

 

だが、「工場のせいで川に人が寄り付かない」と言ってしまうのは簡単だ。工場が生み出す退廃的で生々しい佇まいも、紛れも無く「小名浜」の一部だからだ。「東北の湘南」とは言うけれど、湘南のように100%まるまるすべてが美しい土地のわけではない。小名浜には、むき出しの自然の美しさもあるが、同時に、人間が生きていくことの醜さも存在する。しかし、私は、それこそが小名浜なのではないかと思う。

 

だから、川に人を呼び込もうと考えたとき、その「小名浜らしさ」を大きくいじらないことが大事だ。工場エリアに親水公園を作って人を呼び寄せようとしても人は寄り付かない。河口付近で川の生態を学ぼうと思っても難しいし、上流で釣りをやろうと思ってもうまくはいかない。藤原川に、流域にあわせた役割を与え、元来の表情を失わせることなく個性を磨くことができれば、川に人が戻ってくるのではないだろうか。

 

 

—藤原川を三つに分けて考える

ポイントは、藤原川を、「自然豊かな上流」「工業用水としての中流」「藤原埠頭を含む河口付近」の三区間に分けることだ。玉川周辺の比較的水のきれいなところでは、子どもたちが多様な生態系を学ぶための親水スペースなどを設けるのがいいと思う。また、遊歩道には色を塗り、ジョギングやサイクリングのコースを作ってみるのもいい。人々の関心が自然に向き始めている今こそ、地元の自然を知ってもらう機会だ。

 

工場エリアは、工場夜景の撮影場所として利用してはどうだろう。工場側には、撮影者のために進入禁止エリアを一部解除したり、パンフレットを配るなどの柔軟さが求められる。また、工場側と撮影者が協力しながら、遊歩道の雑木や雑草を撤去するボランティアをしてもいいと思う。「人が寄り付きそうもない」場所を逆転の発想で転換し、極めてマニアックな場所として機能させることができれば、このエリアは再生できるかもしれない。

 

河口付近は、今のまま釣りの名所として機能させていくのがベストだろう。堤防近くにトイレや自動販売機、ベンチなどを置き、釣り人に優しい環境作りを目指すとともに、釣り人のリクエストなどを集めつつ、純粋に釣りを楽しめる機能を高めていけばいい。目下、小名浜の沖に浮き島を作り、そこまで大きな橋を架けるという計画があるが、巨額の公共投資をするよりも、今あるものを利用していく方向で税金を使うことが、よりヘルシーな市政運営や観光政策のきっかけになるのではないだろうか。

 

家族連れの釣り客で賑わう藤原埠頭
家族連れの釣り客で賑わう藤原埠頭

 

—川を知る、ということ

 

いわきには、美しい海と森がある。それは誰もが誇っていいと思う。しかし、忘れてしまいがちだが、それを繋ぐのは川だ。森が豊かであれば、その恵みは川へと流れ、河口付近に豊富な栄養を運ぶ。三陸や富山湾が日本有数の漁場になっているのは、川と森が機能しているから。三陸で行われる牡蠣の養殖は「森を作ることから始まる」と言われるくらい、川と森、そして海の関係は深い。もちろん、三陸の川と藤原川では性質が違うけれども、川が、地域の自然を考える上で大事な存在であることに変わりはない。

 

いわき市内には名所が多い。しかし、名所というのは黙っていても人が集まるもの。藤原川のような「生活に埋没してしまう」環境こそ、時間と人の労力をかけなければ本当に埋没してしまう。そして、今回の私の探検がそうだったように、「宝物」というのは、意外に日常の中に転がっていて、誰かに磨かれるのを待っていたりするものなのだ。

 

私は30歳にしてようやく、藤原川と出会った。宝物になりそうな原石もいくつも見つかった。河川敷を歩いてみないと見えない物がたくさんある。それに気づけただけでも、今回の探検は大成功だ。藤原川と出会うまで、私は30年もかかってしまったけれど、ふるさとの川を「記憶に埋没する川」にしてはいけない。川を作るのは、そこに暮らす私たちなのだから。

 

川へ。あなたのその目も、今こそ向けて欲しい。

 

text & photo by Riken KOMATSU


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コメント: 1
  • #1

    (火曜日, 12 12月 2017 23:21)

    衝撃事実拡散

    最近異常気象が目立ちますど、台風も地震も大雨も、米国がHAARP(高周波活性オーロラ調査プログラム)で作り出したもんです。「HAARP、地震」 「HAARP、台風」等で検索してもらえば出ます

    この世の痛み、病気、自殺、殺人、墜落事故、交通事故、火災等、この世のほぼ全ての災いを【人工知能】を使って秘密裏に作り出してる組織がNSAで、総括してるのが【米国防総省】です。この犯罪は、クソ米国がやってる国家犯罪です

    この犯罪の主犯各は、米国の諜報機関(スパイ、政府機関)のNSAです。CIA(スパイ、政府機関)が創価を日本統治に利用してるってのもあって、NSAが創価の悪事に便乗して、創価になりすまし、創価を利用してやってる犯罪です

    人工知能を活用したレジ不要のコンビニ、米アマゾンの「Amazon Go」このコンビニは、人の動作、音声、商品棚の重さ等を【人工知能】が細かくチェックして、お客が商品を持って出ると、ケータイで自動精算されるので、レジが必用無いわけです

    このシステムからわかる事は、人工知能は、多くの人の行動を1度に管理出来るし、多くの人の一挙手一投足を、見逃さずに監視出来るって事です

    この人工知能の技術を米国が悪用して、人工衛星を使い、地球上の全ての人を、24時間体制で監視盗聴して、悪さをした人や創価に逆らった人を病気にしたり、事故らせたりして災いを与えます

    こんなに大規模な犯罪なのに、あまり世間に浸透してないのは、人工知能が遠隔から各個人の生活スタイルを24時間体制で見て、生活に沿った病気や痛みを与えて来たからです。重い物を持ったら腕に痛みを与えたり、ツラい事があったら鬱にしたり等。相手に覚られず、任務を遂行するスパイ組織が主犯各なんで、私生活に便乗して、違和感を持たせずにやります

    青森県三沢基地には、 NSAの電波傍受(盗聴)施設がありますし、世界中に通信傍受施設を配備してるので、地球上のどの地点にいても、ケータイやPC等の通信機を介して盗聴します

    この犯罪は、GPS (全地球測位システム)を使ってやるので、地球上のどの地点にいようと、どんな建物の中に入ろうと、継続的に、監視追跡出来ますし、どこに居てもピンポイントで、痛みやカユミや病気を作れます

    そもそもGPSは、米国防総省が軍事目的で開発したもので、管理運用も国防総省がしてます。NSAは【国防総省】の管轄で、CIAが大統領の直轄です。台風や地震を作り出すHAARPも、米国防総省主導によるプロジェクトです。つまり、この地球規模犯罪を総括してる組織は、米国防総省って事です

    ノイズキャンペーン(騒音の嫌がらせ)に至っては、救急車のサイレンで嫌がらせする為に、人工知能が重篤な患者を作り出しますし、パトカーが付きまといをする集団ストーカーは、警察に通報させないように、人工知能が警官を操って、いかにも警察が嫌がらせしてるように、工作します。警官は、自分が操られてる事に気付いてません。これらは全国でやってますから、警察関係者は知らぬ間に、多くの人に恨みをかってるって事です。警察の内部事情は全て筒抜けで、パトロールに行く時間も全て人工知能が把握してますから、それに便乗する形で警官を操り、定規で測ったかのような、神懸かった抜群のタイミングで集ストします

    行く所行く所で周りの人が咳払いしたり、くしゃみをしたりする集団ストーカーは、人工知能が被害者の周りの人に波動を当てて、咳払いやくしゃみをさせてるだけです。いかにも集団でストーカーしてると思わせて、心理的負担をかけてるだけです

    咳をした時の周波数と同じ周波の波動を当てると、人為的に咳を出させる事が出来ます。例えば、TBSラジオ90.5MHz、ニッポン放送93.0MHzに周波数を合わせると、これらのラジオを聴けます。これと同じように、食欲が湧かない時の周波数、眠れない時の周波数って具合に、それぞれの周波数と同じ周波を当てると、ラジオが切り替わるように、その状態に切り替わって、意識操作や精神疾患を作り出せます

    生態の周波数コードを読み取って、脳波パルス信号に、同じ周波数を送ると、波動が共鳴して、その状態に切り替わります。例えば、人が右に曲がる時の周波数コードを読み取って、その周波数と同じ周波を送ると、いとも簡単に右に行かせる事が出来ます。これを利用すれば、警官を操って、パトカーに集ストさせる事も、たわいないです。好き嫌いの感情、食欲等を操る事なんか、造作もないです

    例えば、蛍光灯に虫が集まるのは、ある決まった周波数の紫外線に、吸い寄せられてるからです。逆にいうと虫ですら、周波数で操作が可能って事です。昆虫類は、それぞれが違った周波数の光に誘引される性質があるんで、どんな虫でも周波数を変えると、自在に操作が可能って事です

    創価が仏敵によくヤる、家の中に害虫を呼び込んだり、カラスを屋根の上に集めて暴れさせたり鳴かせたり、犬を吠えさせる嫌がらせも、人工知能が軍事技術を用いてヤってます

    ちなみに、27~38Hzで不眠に、48~55Hzで喘息に、88Hzで片頭痛が引き起こされます。それぞれの病気が、それぞれ決まった周波数を持ってます。これらの周波数と同じ周波を当てれば、どんな病気でも作り出せるって事です

    CHAGE&ASKAのASKA氏が釈放されてすぐに、新潟県糸魚川市で大規模火災発生

    ASKA氏が、集団ストーカーの事を記した700番て本を、2月17日に発売してますけど、この本が発売される1日前の2月16日に、通販会社のASK UL (アスクル)の倉庫が、1週間近くに渡って燃え続ける火災発生。創価の本尊を燃やすと、その家が火事になるんですけど、これらは全て人工知能が工作してやったもんです

    特に創価の活動家には、頻繁に災難が降りかかるんですけど、信者は皆、魔(仏罰、現証、非科学的な原始的発想)にヤられてると思ってます。災難が続くと、信者は仏にすがって、学会活動や選挙活動に精を出すようになるので、定期的に科学技術で災いを与えます。モチベーションを上げさせる為の、起爆剤みたいなもんです

    犯罪組織を特定して、拡散していく事でこの犯罪は減って行きますから、盲滅法にバラまいて、世間に浸透させてます

    https://shinkamigo.wordpress.com