2012年

6月

09日

LONDON-FUKUSHIMA Project

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テキスタイルで福島とロンドンを繋げようという興味深いプロジェクトがいわきを舞台に始まった。ロンドン在住のファッションデザイナー川西遼平、いわきの地域活性プロジェクトMUSUBUが共同で進める「LONDON-FUKUSHIMA PROJECT」。プロジェクトのためいわき入りを果たした川西本人に、プロジェクトについて話を聞いた。

text by Riken KOMATSU

 

このプロジェクトは、ロンドン在住のファッションデザイナー川西遼平がロンドン市内の小中学校などで子どもたちと制作したテキスタイルをいわきに持参し、いわきの人たちと一緒に服を作りファッションショーを行うことで、ロンドンといわきをつなごうという中身だ。地域活性団体MUSUBU、素材提供として(株)常磐テント商会が協力するプロジェクトとなっている。

 

プロジェクトは6月9日よりスタート。週末を中心にいわき市中央台のパオ広場やいわきアリオスなどでワークショップを行い、いわきの市民とともにテキスタイルを制作する。そこでできたテキスタイルをもとに川西らが作品を制作し、7月8日にファッションショーを行う予定だ。


川西遼平(中)、福田匡佑(右)、川西悠太(左)。1ヶ月UDOK.に寝泊まりして制作にあたることになる。
川西遼平(中)、福田匡佑(右)、川西悠太(左)。1ヶ月UDOK.に寝泊まりして制作にあたることになる。

 

プロジェクトのスタート前日、川西遼平、パタンナーの福田匡佑、川西の弟でありドキュメント映像保存のために同行している川西悠太の3人が、1ヶ月の滞在拠点である小名浜のオルタナティブスペースにUDOK.に到着した。UDOK.が滞在先に選ばれたことについては、本来は3人の滞在場所は白紙の状態だったが、訪問したUDOK.のメンバーと意気投合し、急遽、UDOK.の床にゴザと寝袋を敷いて急場しのぎの「宿」を設営することになった、という経緯を補足しておこう。

 

川西は、ロンドン芸術大学セントラル・セントマーチンズ・カレッジ オブ アート アンド デザインを卒業した気鋭のデザイナー。セントマーチンズといえば、ジョン・ガリアーノ、アレキサンダー・マックイーンらを輩出した名門。ベルギーのアントワープ王立芸術アカデミーと並び、ファッション業界では二大校として知られる。そのセントマーチンズのニット科を卒業した川西。2011年には、パレスティナ問題を取り上げた卒業制作が脚光を浴び、VogueTelegraphGuardianNew York Timesなどの有力紙で紹介されるなど、新進気鋭の作家として知られている。


「震災後、ロンドンで何度も福島についての報道を目にし、何か子どもたちと一緒にプロジェクトができないかとずっと考えていたんですが、あるドキュメントの中で、学校の校庭からプルトニウムが検出されたというニュースがあったんです。それで、室内でできるテキスタイルならば福島の子どもたちにも合うのではないかと考え、さっそくロンドンの子どもたちとテキスタイルを作り始めました」。川西は、プロジェクトの経緯についてそう語る。

 

最終的には、いわきの子どもたちとファッションショーを行うことがプロジェクトのフィナーレとなるが、川西の考えるショーはファッションの概念にとらわれない。開口一番「プロダクツには興味はなくて、アートの文脈でファッションを取り上げているだけなんです」と川西。学科にニットを選んだことについても、「コットンには歴史の蓄積もありますし、世界の情勢や経済、貧困の問題などのさまざまな背景もあり、題材としてすでに厚い文脈があるんです」と語るほど、アートに傾倒している。

 

セントマーチンズでの卒業制作においても、一介の東洋人がパレスティナ問題にクリティカルに切り込んだことが大きな反響を呼んだ。これまでに影響を受けた作家は? と聞くと、ヨゼフ・ボイスやマルセル・デュシャンなど、ファッションデザイナーではなくむしろアーティストの名前があがる。アートの文脈で話題をさらってきた川西だけに、福島で何を表現するのか、すでに多方面から注目が集まっている。

 

話題となった川西の卒業制作。ボイスのフェルトスーツからも影響を受けているという。
話題となった川西の卒業制作。ボイスのフェルトスーツからも影響を受けているという。

 

「日本という国を外から見た時、僕にしかできない表現、外の人間だからこそできる問題提起があると考えてきました。政府ができない支援や訴えが必要だと思うんです。自然の力、人間の力がクロスオーバーしていくようなショーになればいいですね」(川西)。これから世界を舞台に活躍するであろう川西たちが、その柔軟で先見性のある眼で、どう福島を表現し、伝えていくのか。わくわくするプロジェクトが産声を上げた。

 

 

information

RYOHEI KAWANISHI

www.ryoheikawanishi.com


London-Fukushima PROJECT

www.musubu.me  

【洋服パーツ作りワークショップ】


6月9日(土)   10:00-13:30 @いわき市中央台パオ広場


                   14:00-16:00 @いわきアリオスあそび工房


6月10日(日) 11:00-16:00 @アリオス・パークフェス(いわき中央公園)


6月16日(土) 10:00-13:30 @いわき市中央台パオ広場

622() 11:00-17:00 @小野町コミュニティスペース「おのほっぺ」 


6月23日(土) 10:00-13:30 @いわき市中央台パオ広場


625() 11:00-17:00 @小野町コミュニティスペース「おのほっぺ」

626() 11:00-17:00 @小野町コミュニティスペース「おのほっぺ」

6月30日(土) 10:00-13:30 @いわき市中央台パオ広場

※ 各所参加費無料 / 参加申込み不要

 

【ファッションショー】


7月8日(日) 11:00-16:00 @アリオス・パークフェス(いわき中央公園)

 

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